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小児矯正

ストレスフリーと健全な成長のための
           小児育成矯正を求めて

小児育成矯正


お子様の不正咬合は急激に増加傾向にあるようです。
食生活や生活習慣の変化が不正咬合の増加の原因と思われます。

かつては、(今でもその傾向はありますが)
「歯列矯正は永久歯になってから。」
『乳歯から、生え変わり時期は準備段階の矯正治療を』
「少しは並びが悪くても個性的だから」
等といわれて来ました。 しかし、近年は、社会生活の変化、欧米化の流れの中で、より素敵な笑顔が求められ、同時に年少期からの矯正治療=育成矯正が新しい流れになっています。そして、咬合(噛みあわせ)と全身との関係に注目が高まり、また従来の矯正治療による全身的なストレスによる副作用も問題化されています。

不正咬合の原因

不正咬合の原因はいろいろありますが、最近特に多いのは生活習慣の変化によるものといえましょう。 顎骨が小さくなっているという意見がありますが、これは違っているようです。顎骨は確かに人類学的な面で歴史を見れば縮小傾向にありますが、100年200年の変化はあまりないというほうが正しいように思えます。 それよりも歯軸の傾斜(歯の角度)と歯の萌出度合いが問題でしょう。噛むことの少なくなった現代社会は、歯の萌出に影響を与えています。 歯の萌出には適度な刺激が必要なことは古くから知られていますが、噛むことによる刺激=力がその萌出を促しています。しかし、現代生活では、

1) 食物がすべてやわらかい傾向がある
2) 食事における時間が不規則、又は短い、
また、○○ながら(例:テレビを見ながら)で
食事をすることが増えている

 という問題点が上げられます。このために、歯の萌出に適度な刺激がなくなり、歯軸が内側に著しく傾斜したり、萌出度合いが少ないことになります。また口腔関連筋肉が十分な力を得ることが出来ない面も加味されます。
 これらのことに遺伝的な要因やその他の生活習慣・癖なども交わり不正咬合の基本的な原因となっているようです。
 もっと重要な点に保育の問題が考えられますが、まだ詳しい研究がされていないようです。

育成矯正の基本

育成治療の第一の基本は不正歯列につながる要因の除去と成長の助成です。
  不正咬合は遺伝などが大きな因子であり、永久歯になってから行うものだという考えが今も残っているのですが、もちろん遺伝的因子は大変重要ですが、成長時期の様々な環境因子が原因の大きなものと考えられるようになりました。

治療前

治療後

ほぼ治療が完了しました

治療前

治療後

この後、細かい治療を行っています。
クリアラインジュニアという装置を利用しています。
クリアラインジュニアは取り外し式の透明マウスピースを利用した
「クリアライン」矯正治療の小児用です。

治療前

治療途中

基本的な治療がほぼ終わりそうです。
引き続いて前歯部の審美性の治療に進みます。

次にはじめる年齢により治療パターンが変化する症例をご紹介します。

1 この症例では、治療開始は6年生夏 ほとんどの歯が生え変わり
 乳歯では左右上下のE〔乳歯で一番奥の歯〕と犬歯のいくつかが残っている状態でした。
中学2年生 ほぼ3年がたち 乳歯はすべて永久歯に生え変わりました。
第一大臼歯までの歯列はほぼ完成し、後は第2大臼歯の萌出の完了を待って審美性や咬合の調整をして完了します。

2 次は小学2年生で始めた症例です。

 

現在は小学5年生、下の写真です。
前から見ると犬歯が変ですが、この段階では問題はありません。
口の中を見ると、まだ乳歯があります。
乳歯の大きさと、永久歯の大きさ、そして顎骨の成長を予測して治療は継続してゆきます。
乳歯が抜けた後に永久歯が入りちょうど犬歯が入る空隙ができてきてうまく並んでくれます。

 上の例のように、成長期を利用して、正しい骨の成長を導き、阻害要因を取り除いてゆくことにより、綺麗な歯並びになってゆくほうが多いようです。
  歯軸が著しく内側に傾いているお子様が増えています。第一大臼歯の生える位置関係が不正咬合を起こしやすい状態になって生えているお子様が多くなってきているのです。これが第一義的な問題です。前歯の歯と歯の間にすき隙があるのが普通なのですが、空隙がない、言い換えれば乳歯時期では綺麗な歯並びのお子さんをよく目にするようになりました。このことは逆に永久歯での歯並びを悪くすることにつながります。同時に乳歯の抜歯をするお子様が増えています。特に前の歯において、乳歯が交換しにくいという傾向があります。これは

図@ 正常な乳歯の角度 図A 現在多い乳歯の角度

図2のように、乳歯の角度が変化していることから永久歯の萌出の角度との違いにより生じることが考えられます。 育成矯正では、これらのことを、お子様の成長に合わせて解決しながら、同時に身体への負担を最小限に抑えて進めてゆく矯正方法です。

次に、これまでの矯正治療では忘れられがちな「咬合高径=歯のはえ具合」についての治療をご紹介します。
矯正治療ではどうしても、歯並びに目が行きがちですが、もちろん審美面は大変重要なのですが、それ以上に重要なのが、咬合高径の確保という事になります。
この咬合高径は

1.審美面から見ても 
  1. 1顎のラインのシャープさ
    顎のえらが張っていたり、丸顔の方が増えています
  2. 2下顎の位置
    下顎が前にあり、シャクレ気味の方が多いようです
  3. 3お顔の立体感
    顔が平面的な若い女性が多くなっています
2. 全身との関係から見ると咬合力の低下が基本となり
 
  1. 1脳神経回路構築の阻害
  2. 2各種代謝不全
  3. 3顎関節症の増加
  4. 4顔面筋の筋力の低下
などがあげられます。

右から左の写真のように咬合高径を上げます。この症例は反対咬合ですが、咬合高径を長くする(上げる)ことにより反対咬合も改善します。
取り外しの可能な装置を夜間だけしていただきます。

小児時期における矯正治療の副作用の問題

小児時期は骨格や筋肉の成長だけでなく神経系・内分泌系・生殖器系などが活発に成長をしてゆく時期でもあります。この時期の『ストレス』はこれらの各機能系の成長に影響を与えると言われています。 「ストレス」は最近では精神的な面で使われることが多いのですが、恩師ACフォンダーの師であり、ストレス学説でノーベル賞を受賞したハンス・セリエ博士は

「口腔領域の様々な要因がストレスとなりうる」

とフォンダーにいわれました。 特にフォンダーが注目したのは、矯正治療時における『ストレス』でした。彼の調査では35年以上前のアメリカにおいても、矯正治療時のストレスを基本的な原因とする慢性疾患は70%以上であるということを指摘しています。 この慢性疾患は、発現=発症したり、その程度によって個人差が大きく、『因果関係は明確には実証されていない』という矯正歯科医も少なくはありません。しかし、長年慢性疾患と口腔との関係を見てきた我々からすれば、明確な因果関係は実証されていなくても、臨床的な見地からその関係を多く見ている以上、疑わしいものは避けなければならないと言うことになります。  

(顎口腔系と全身慢性疾患の関係については、トピックスの「Dental Distress Syndrome」で少し詳しくご説明をしますので、ここでは省略しますが、興味をお持ちの方はご一読ください)

小児育成矯正の意義について

ではここで改めて、小児時期での矯正治療の意義について考えてみましょう。
  まず、大きく分けて二つの目的があります。一つは小児時期における目的、もう一つは大人になったときのための目的になります。
  まず、小児時期における目的は、顎・口腔系の健全な発育による

1骨格・筋肉系の発育
2神経系、内分泌系、生殖器系の発育

 への影響になります。
  小児時期の不正咬合は脳内神経伝達物質のセロトニンの分泌を抑制するという研究報告があるように、様々な影響を与えるようです。

 次に大人になったときの影響です。
  不正咬合は、成長期における健全な成長を阻害する要因となることのみならず、大人になってからも、顎口腔形は慢性的に全身の様々な部位・器官に影響を与えることになります。しかし顎口腔系が注目されたのは最近であり、まさかこれがその原因の一つとは思わないケースや慢性症状には個人差があり生活に支障をきたさない程度と言うことも少なくありません。

育成矯正の治療について

まず、育成矯正のメリットを成人矯正との比較で考えてみましょう。

 
 小児育成矯正
成人矯正
身体への影響 成長を利用する 力による移動
精神的な影響 比較的慣れやすい
短時間でよい
生活に支障をきたす
ことがある
治療期間 永久歯がほぼ生えそろうまで 程度により1年から3年
経済面 通常成人矯正よりも安価 装置により金額が違う

我々が開発したクリアラインは従来の矯正治療の副作用を出来るだけ軽減しました。しかしそれでも上記のように色々な問題点を完全に取り除くことが出来たものではありません。

1.ストレスフリーのための取り外し式の矯正治療装置

20世紀前半に始まった固定式のワイヤー矯正治療や、顎全体の成長の抑制や促進のための顎外装置などはアメリカ矯正を象徴するものでした。矯正治療そのものへの効果、言い換えれば特に審美性を基本とした歯の移動には大変効果の高いものであるといえるでしょう。
  しかし、顎口腔系と全身との関係の研究が進む中で、矯正治療もまた、ストレスと言う問題を避けてはとおれないことになります。特に小児時期での矯正治療は要注意です。ストレスを可能な限り軽減することの重要性はより高まってきています。
  額口腔系のストレスを長年扱ってきた立場からするとストレスフリーのためには、現時点では固定式装置や顎外装置では、なかなか難しいと判断されます。同時にストレスを扱う中で、各機能系の発育や成長を見てくると、顎外装置などを利用せず、顎口腔系の健全な発育を調整することの可能性に気づくことになります。
  ※このことは立場の違いが論点の違いになりがちです。成人矯正においても、19世紀後半の学説である『アングルの咬合』を基にする矯正治療の立場と「ストレスフリーと全身の慢性疾患」を念頭におく我々の立場とは微妙に食い違いを見せることがあります。
  この立場の違いのどちらを選択するかは、患者サイドの判断となります。
  同時に我々はこの違いに対して、可能な限り科学的な論証で説明する義務が生じることにもなります。

◇取り外し式の矯正治療の基本

古くから取り外し式の矯正治療装置は使用されてきたのですが、材料の進歩が多くのことを可能にしています。小児時期の不正咬合の多くはこれまでお話してきたように、歯の萌出を含めた成長の抑制によるものが多いわけであり、この抑制をフリーにしてやることが目的となります。

 上の写真は
        1. 歯槽骨の発育を助成するための装置。
        2. 歯牙の萌出を助成するための装置。
        3. 歯の位置関係を助成する装置。
  このように症例により異なった装置を使用しますが、装着は基本的には夜間、ご自宅にいるときのみとなります。
  小児時期を扱う場合、常に全身の発育を念頭に置かねばなりません。学校での生活や友人との時間、そして運動の時間など健全な成長のための時間を、矯正治療が阻害することがないように注意を図ることも重要です。
  治療時の痛みや、装着することの気持ちの変化なども、常に観察をしながら行うことになります。

2.育成矯正の流れ

1  育成矯正の場合、第二大臼歯が生える14歳から15歳ぐらいまでフォローしてゆくことが基本です。故に、大変申し訳ありませんが、転勤等の可能性がある場合、この育成矯正は適合しません。その為、従来の矯正治療による治療でお願いすることになりますので、当院ではお受けしておりません。
2  育成矯正は、始める年齢が様々ですが、基本的にいえることは出来るだけ早い年齢で始めるほうが、トータルでの時間や経済面そして身体面などの負担は軽減できることになります。当院では、本格的な矯正治療を開始する年齢として就学後を基本としています。就学前では、幼児矯正の範囲にしております。

話を整理しておきますと、
  成長するお子さんの矯正は身体の成長を常に頭に置きながら、顎骨の成長を見て、そして永久歯を順調に萌出させる事が育成矯正と言えます。これまで、成長の基本的な因子を遺伝子に比重を置いていました。しかしもちろん親から受け継いだ遺伝子は重要ですが、遺伝子の読みだしと共に環境因子が重要です。環境因子は、人間の頭蓋及び顎骨がほぼ14,5歳で完了しますのでそれまでの間が重要な期間と言うことになります。(20歳近くまで成長は見られるのですが)
  批判ではないのですが、これまでの矯正学が比較的歯の移動の技術論に比重が置きすぎた面があるように思われます。近年まで「矯正は永久歯になってから」と言う発想がありました。骨の成長とその阻害因子を考えるならば、これまでに述べてきたように成長に合わせた矯正治療が必要になります。しかし、ここで重要なのが、ストレスフリーの考え方です。ある意味では両刃の剣でもあります。そのものに注意が必要であり、面倒なことも事実でしょう。

幼児矯正

幼児矯正とは正式な名称ではありません。当院で便宜上使用しております。幼児を就学前と定義して、この年齢のお子様に対しての簡易の矯正治療の方法です。

基本的な目的は
         1慣れるための準備の期間
         2簡単な簡易矯正で治療が可能な場合
を一つの基準としています。

年少時期での不正咬合の可能性の発見は矯正治療時の身体的な負担の軽減につながります。
  この負担とは

    1矯正治療時における期間的なもの
  1. 2矯正治療時における強制力の軽減=ストレスの軽減
  2. 3矯正治療を受ける経済的な負担の軽減

が考えられます。
  しかし、反対咬合は分かりやすいのですが、他の不正咬合はこの時期ではなかなか分かりにくいというのが本当のところでしょう。
  目安としては、乳歯列の歯の角度、歯と歯の隙間、大臼歯の萌出位置の予測で分かることになります。多くは、歯科予防時に歯科衛生士などの専門家の観察により見つけることになります。虫歯への予防対応だけでなく、このような咬合への育成観察が予防時では必要になります。

幼児期における装置

最初にも期しましたようにこの時期での矯正治療の目的は

1. あくまでもなれるための準備段階のイメージを持っていただくことが大切でしょう。ですので
2. 中には簡単な操作で改善されるものもあります。
ただ、不正咬合の大きな要因として、生活習慣が挙げられます。特に食習慣が重要になります。食習慣を保護者の方が綿密に注意を図るということが現実問題として難しい面があります。社会の流れに逆らうことはなかなか難しいものです。ある程度の生活習慣の改善をお願いすることになりますが、それだけで不正咬合が完全に改善するかというと難しいものです。やはり、身体にあった矯正治療が必要になるようです。
経済的な面も関係してきます。「幼児期での矯正で改善しないならば、その時期の治療は無駄なのではないか。」というご意見を頂くときがあります。このあたりは、仮定の話しとしてご説明することになります。就学前での治療の開始は身体的な負担の軽減になるということなのですが、目に見えないものなので、どう判断されるかは保護者の方の判断となります。簡易な矯正治療で改善される場合、就学後も多少治療が必要な場合は、あくまでも就学前の治療の継続で対応させていただいております。

費用などについては、治療費のページをご覧ください。