顎関節症について
インターネットで「顎関節症」を検索すると星の数ほどを見ることが出来ます。
しかし顎関節症と額口腔系が全身との関係については、とりあえずは分けて考えてゆくことが必要なように思われます。
顎関節症そのものはあくまでも、顎関節とその関連筋群の疾病であり、顎関節症などが全身に及ぼす影響はまた異なる経路をたどると思われます。このことは次項のDDSに関係しています。
では、限局した範囲での顎関節症を考えて見ましょう。顎関節症での症状は関節での音と痛みでしょう。
顎関節症の増加傾向は、比較的簡単に説明が可能です。一つは顎位の問題そして引き金を引く社会環境の問題となります。
顎関節症に対しては、急激な痛みには通常の抗炎症治療が優先されることになります。慢性的な鈍痛症状には顎位の改善又は一時的な変化で行うべきでしょう。クリック音などは多くはこの処置で解決が付くようです。顎関節症そのものには従来の治療法と顎位の考え方で対応すべきであり、あまり複雑化しないほうがいいと言うことになります。それは、顎関節症がある時期ある期間で解消されることが多いことからわかります。しかし顎関節症が波及し別経路をたどる場合がありますが、これは従来の思考のチャンネルを切り替えて考えてゆく必要が出てきます。
顎関節症は、個人差が大きい疾病です。この個人差が大変重要な要素になります。
マニュアル化された治療で改善しないのはこれが原因です。
ではこの個人差を如何に読むのかと言うことが重要になります。ではなぜ個人差が多いのでしょうか?この個人差の原因は中枢神経系にあるといえそうです。顎関節自体とその関連機関からの影響が考えられます。このことは顎関節症が別経路をたどると述べましたが、顎関節症自体においてもこの経路がシステム的には主経路となります。しかし分けて考えるほうがいいのは、波及の範囲の違いです。今お話しているのはあくまでも「顎関節」に限局した症状に絞っています。
この経路における脳内での様々な反応については、またの機会にお話したいと思いますが、個人差は脳内にあるということだけにとどめておきます。
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| 解剖学的にはこんな感じであり、筋肉の痛みは上記の3点が多いようです |
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関節はこんな感じで、関節の痛みは基本的に間接円板の動きにより生じます。
顎関節症に限ってみると、この疾病においては「複雑化」させないことが重要です。
要するに、関節と関連筋に絞って、整形外科的な治療を最優先することになります。
ここに最初から「咬合理論」を持ち込むと話が大変ややこしくなってきます。
整理しておくと、
咬合論は慢性疾患の特に骨格筋系のバランスが主原因となる疾病に有効です。肩こりや腰痛の改善などがこの中に含まれます。
身体の状況を変えてやることより改善する慢性疾患があります。これは、代謝・内分泌系が主原因となる場合が多いのですが、この場合も咬合論が有効です。ただこの場合はどのような咬合論でも良い訳で、状況を変えてやるだけで改善を見ることが多く、俗にいう咬合論やカイロ・整体等での姿勢の変化で疾病が改善するケースもこれに含まれます。
(この代謝・内分泌系を主原因とする慢性疾患が顎口腔系に密接に関係する症例があります。特に年少期からの矯正治療に見られます。これは単純に咬合論では対処できません。)
インターネットなどで紹介される多くの治癒症例はこの範囲にあります。一部のパーキンソンにも有効なケースがあります。なぜかについては、DDS で述べてみるつもりです。
顎関節症を複雑化してしまうととり止めがなくなります。朝起きたときに顎が開けにくい、大きく口を開けると音がする・・・程度ならば、生活に支障がないわけですから、適応してゆくほうを選択することでしょう。もともと顎関節症になる要因として、顎の不正位があるのですが、すぐにその原因論に行かずに対処療法で解決するほうが顎関節症の第一段階としては正解でしょう。
パターンの一つを紹介します。
基礎因子 これは体が順応しています
中間因子 生活に支障がありません。これも順応しているといえます。
引き金因子 この引き金が急性なトラブルを引き起こします。
ここで、この引き金因子だけを取り除けばいい場合が少なくありません。
顎関節症の場合、カウンセリング=心理療法で回復するのが一例です。
逆のパターン・異なるパターンもあります。また
口腔内の何らかの問題が長期化し、その原因を顎関節に持ってゆくパターンもありす。例えば、一つの歯の痛みが長期化した場合、多くの場合は咬合力問題がある場合があります。しかしこの場合も基本的な原因は咬合力であっても、その誘引となる問題が歯がそのものにあることが多く、極端に言えば、完全に咬合させないようにしてしまう=削合してしまう、という選択が優先されるべきでしょう。従来口腔は単純な器官であったのですが、複雑な器官に変貌しています。このことは、DDSでお話できればと思います。
次に慢性化した場合、慢性化とは生活に支障をきたすレベルに進んだということでもいいのでしょうが、この場合においても、複雑化させないことが基本です。咬合論を持ち込むと話が複雑化しがちです。あくまでも、症状への対応が主であるべきでしょう。恩師アンソニー・フランクは始めてシカゴに研究所に勤務した初日に私に話された言葉を今も忘れません。
「ここは咬合を、全身と口腔との関係を研究している人たちが出入りしている。咬合は歯科医療にとって大変重要である。しかし、理論の前に、医療とは人間サービスであることを忘れないで欲しい。」
咬合論で治る場合も少なくはありません。マニュアル化された治療で治癒するケースも多いのは事実です。しかし、顎関節症は個人差があります。まずは、症状を医学的に見つめてみることのほうが重要です。慢性化した場合も症状を丁寧に一つ一つ紐解いてゆくことにより、回復に向かうことが多いのです。治療側も患者側も慌てないことが大事になります。
ケーシー・グゼイの「クオダラントセオレム」と言う咬合論は、おそらく正論であり理想的咬合論であるように思います。しかし現実問題として、この咬合論が治療として最適なのかと言うと疑問があります。ケーシーとは一年間にわたり、毎日色々な議論をしました。目的は英語の勉強です。彼は本当に頭のいい人間でした。社会情勢から世界情勢、スポーツから芸術・哲学まで博識でした。尊敬に値する知識を持っていました。故に彼の理論はあまりにも論理的過ぎるというのが本音です。この私の言葉に天国の彼は苦笑いをしてくれていると思います。
このことは、他の咬合論や治療論にも当てはまります。急がないことです。薄皮をはぐように少しずつ改善する、確かに歩みはのろいでしょうが、結果は必ず出てきます。もちろん、咬合論治療論で回復するケースも少なくはないのですから、それは、治療側も患者側も試みてください。しかし限界を見極める勇気を持つことも必要です。
「咬合にはいまだ確実な理論がない」といわれがちですが、この言葉には間違いがあります。正常な咬合とは、機能的正常咬合です。機能的正常咬合を求めることが基本です。
理論的正常咬合と機能的正常咬合に分けて考える必要があります。もちろん最終システムでは密接につながるのでしょうが、まずは機能を優先することが必要です。
しかしこの正常咬合が求められない場合が多く出てきました。顎口腔系が身体機能にとって大変重要な位置付けになっています。これまでわかってきた回路以外の別回路が現れてきました。
次項でお話しするDDSの中でそのことについて簡単にお話を進めたいと思います。
話が主題からそれてきましたが、慢性化した顎関節症、色々な治療を受けたがなかなか回復しないと言う場合には、まずそのレベルの分析が行われる必要があります。
1 貴方の顎関節症はどのような支障をきたしているでしょうか?
2 貴方の顎関節症はいつ、どこで、どのように自覚するでしょうか?
を考えて整理することから始めることでしょう。
1 顎関節症が発現したときのことを分析してみましょう。
2 それまで体調はどうだったかを思い出してみましょう。
この4つのポイントが、慢性化した顎関節症の解決の重要な要素になります。
この4つから治療法の選択を行うことになります。
この項では顎関節症そのものに絞ってお話をしてきましたが、顎関節症は複雑化させず、
冷静に治療法を選択すれば、回復は高い確立で可能となります。