D.D.S
DDSの基本事項
さてここから本題に入ることになります。DDSとはDental Distress Syndrome
ですが、ここで注意をしていただきたいのは、フォンダーがこのなずけ親なのですがDistressとしたことです。Stressはすべてが悪者ではなく、程よいストレスは人体機能に大変有効に働きます。一例は歯の萌出への力のストレス、そして骨の成長への力のストレスがわかりやすい例でしょうか。
余談が多すぎますが、NASAの報告では無重力空間での骨成長は抑制されるとあります。これは重力と言う人体に程よいストレスが身体にかからないために成長が抑制されるという実例になります。
我々は歯医者さんですから、基本的には口腔関係からストレスを考えてゆくことになります。悪いストレスといいストレスの両方です。
顎口腔系から生じるストレスは
- 歯牙によるストレス
- 咀嚼運動によるストレス
- 顎位によるストレス
歯周組織によるストレスに分けることが出来ます。
そしてそのストレスが
- 骨・筋肉系
- 循環器系
- 内分泌系
- 神経系
- 内臓系
早い話が人体機能のすべてに影響してゆくになります。
逆のフィードバックもありえますが、ここではこのことは飛ばすことにします。
話を進める前に、なぜ近年、顎口腔系からの全身への影響が増加傾向にあるのかについて考えてみる必要があります。
一つは 従来から影響はあったがそれに気づかなかった。これは確かにあるでしょう。 例えば、矯正治療での全身への副作用などで見られることでしょう。
次に社会環境の変化があがられます。社会におけるストレスの増大、ここでのストレスは単に精神的なものだけでなく、例えば環境ホルモンのような化学物質の急激な増加なども考えるべきでしょう。従来疾病はある一定のレベル以上に身体状況が変化した場合を対象としてきました。例えば、成長ホルモンの著しい増加に見られる「クッシング」です。しかし、従来の基準値にはいたらないが、あるレベル以上のホルモン増加が継続して見られる、通常は正常の範囲内と思われる、しかしそれが何らかの影響を与えている、例えば神経伝達物質の増大作用のように、高い閾値で推移するようになっている、これが成長ホルモンで言えば、クッシングにいたらないまでもそれに類似することが現れていると仮定してみましょう。その基本的な原因は社会環境の変化における各種ストレスの増大であるということになります。
これまであまり考えられなかった顎口腔系が関係する全身慢性疾患は、一つは誰もそんなことが関係するとは思わなかったことが関係していたということがあります。
もう一つは上記の仮説が正解とすると、顎口腔系がこのことにどのように関与しているのかと言う話になります。そこでまず顎口腔系の他諸器官と比べたときの特殊性が考えられます。わかり易いのが解剖学的な位置と発生の問題になります。
上記のようなことがなぜ考える必要があるのかと言うことですが、
簡単に言えば「咬合」への反省からと言うことが出来ます。咬合の重要性を語ってきたわけですが果たしてそれだけなのかと言う疑問です。近年特に咬合が言われすぎるているように思われます。DDSはEDS(Eye Distress Syndrome)でもいい訳です。ではなぜ額口腔系が、多くの問題に関係しているのかと言うことになります。もちろん眼にも全身に関係することが多くあるわけですが、顎口腔系は特に多いように思われます。
咬合に代表されるバランスだけではなく、顎口腔系における力、感覚等が大きく関与するのではないでしょうか。ここから先は、街の入れ歯師・飾り職人では荷が重いようです。
慢性疲労症候や繊維筋痛症候そしてそれに近い症状やハームアボイダンスの高い患者さんによる口腔関連の症状の訴え等をみるにつけ、DDSはより拡大されて考える必要性を感じます。確かに、臨床的に顎位の改善だけで、症状が著しく回復されることは多く眼にします。しかし、それは25年前にシカゴの地で見たことと同じです。25年の月日はDDSをより科学的により広範囲に考えなければならない時期にあるのではと感じています。
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| 少し見難いかもしれませんが、脳の話に行き着いてしまいます。例えば、下垂体、下垂体の前葉は色々なホルモンに関係しますが、この場所は発生学的には顎口腔系得に咽頭部から伸びたものといわれます。さて、なんらかの関係があるのでしょうか? |
DDSの拡大から
DDSについて拡大してゆくと、脳機能と顎口腔系の関係の重要性に気づくことになります。脳機能への切口は色々あるわけですが、「美」を切り口にして考えて見ましょう。
美はアンチエイジングにも通じています。美を獲得することにより人間は自信を生むことになります。これら一連の流れは脳内での反応様式があります。詳細はまたの機会にするとして、この反応様式はフィードバックし、他の効果を生むことと、二つ目はこの反応様式が継続する、二つの反応が重要になります。
ここでDDSに結び付けてゆく必要があるのですが、
美を獲得した効果の一つとして例えば「唾液分泌」の促進を見ることが出来ます。
少し話を変えますが、咬合位を変えると「唾液分泌」が促進できます。この咬合位は、咬合位自体がポイントではなく、咬合力が重要な要素になります。
このことから二つのことが見えてきます。
- 咬合位よりも咬合力の重要性→もちろん、咬合位がその源です。
- 美を獲得することにより咬合力と同じ作用、唾液分泌を促進できること
です。ここで歯医者らしい手法を用いてこの関係をより深く考察することになります。
美を顎口腔系の治療で求めることです。そしてそれがどのような機能的な変化を起こすのかを考察してゆくことです。唾液の活性化はそれ自体が代謝向上などにつながりアンチエイジング効果もまた促進されます。それ以上に脳機能、ドーパミン分泌促進がみられ、例えば意欲の亢進がすすみ、色々なことに積極的になることが出来ます。
同様の効果を「美」が生じさせます。ここでの詳しい脳生理・分子の話は除きますが、注目できるDDSの良いストレスの一例になります。
もう一つDDSに関係する一つ例を挙げます。
子供たちの治療です。当院は矯正治療とそして小児歯科及び小児矯正に特化して診療していますが、これはDDSに関係しています。
ラットの行為に「ハンドリング」と言うことがあります。母親の子供に対する行動です。
この行為が成長後のラットに影響を与えるといわれています。
例えば、ハンドリングをされたラットは成長後においてストレスに強くなります。
母親(保護者)と子供の関係は大変興味深いものです。このことをDDS的に考察すると大変興味深いものです。子供時期に出来るだけ手をかけてやることが重要です。しかしここで問題はどのように手をかけるのかが、人間の場合問題となってきます。母親の態度により子供たちの性格が変化してきます。脳機能の変化を見ることが出来ます。詳しいことはまだまだわかりませんが、先述したストレスについてはラットでは甲状腺ホルモンの分泌によりセロトニンが放出されそれが脳の中の海馬と言うところで解読されてグルココルチコイド受容体が作り出されることに起こるようです。詳しい話は別にして、歯科治療との関連を見ています。小児歯科治療でもお話したように、母親(保護者)の性格により子供が違うのですが、どう治療に応用して行くかを考えるのもDDSの一つと思います。それは治療方法だけでなく、将来の身体機能への影響が中心となります。小児時期の矯正において、例えばストレスがどのように影響を与えるのかなどに関係してきます。
我々の研究の新しいテーマの一つがこの小児の育成にあります。
人間は乳児→幼児→学童期における様々な社会様式が刷り込まれ成長してゆきます。
これを分子学に見ると、この刷り込み過程は脳神経接続の様式、個々のシナプスの伝達の調整を通じてほとんど不可逆的に進行するのだろう、と考えられます。
この一連の活動に、顎口腔系がどのように関与してゆくのだろうか?顎口腔系は他の臓器と異なり、外部環境と直接に接し同時に外部要因に影響されやすい臓器といえます。また目、耳などと同様に頭蓋に位置し、物理的骨伝道があり、触覚、味覚の感覚があります。
三叉神経、舌神経、顔面神経等の脳神経により直接的に脳と関係し、脳への循環器の流れに対し影響を与える関連筋等の配置があります。機能が食物摂取と発音と言う単純すぎるほどの単純性を持つ臓器である故に、見過ごされがちな臓器ともいえます。
この臓器が成長にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
例えば、歯科治療と言う生活の中の時間としてほんの少しの時間かもしれませんが、大家の治療とは大きく異なる点があります。初めての治療時点から恐怖心を抱くお子さんが少なくはありません。環境的な因子もあるでしょう、しかしご両親から織り込まれた何らかの情動活動の因子があるのかもしれません。そして、その情動的因子に対する歯科治療の影響は単に歯科治療なのかもしれませんが、もしかすると脳の成長に何らかの影響を及ぼす可能性があるのかもしれません。(少し考えすぎでしょうね。)しかし、ささいなこと小さなことが重要になることもあります。
そんな重箱の隅をつつくような、額口腔系の役割を考えてゆくのもDDSの一つの方向でもあります。
我々は変な歯医者さんです。長年にわたりDDS屋の歯医者はこんな風変わりなことをしています。25年以上こんなことをしていると、巷では「咬合専門医」「矯正専門医」「小児歯科専門医」と言う認定がされているようですが、縁もなく時間が過ぎてきました。ある一定の条件をクリアーすれば、認定医とか指導医に指定されるようですが、我々の分野では脳の機能や内分泌などの体内代謝や化学反応等、まだまだ未知なことばかりで、「DDS専門医」なんかが出来るのは100年は必要かもしれません。キャノン博士と並んでストレスの2大偉人であるハンス・セリエ博士は、「いかなる最新の機器も、名声も、君の着想とその観察に勝ることは出来ない」との言葉を残しました。ストレスの世界では、我々もまた生きている間は、そんなおこがましい称号を持つレベルには、キャノン博士やハンス博士、そして日本でも数人の先人たちが、認定されるかもしれませんが、我々では達することは不可能でしょう。日々の地道な研鑽・基礎研究しか人体は答えてくれない、人体は本当に大変な対象です。
臨床の場では咬合治療や矯正治療は専門医以上に多くの方を治療し、接するのですが、ゴールは同じでも始まりと治療中の視点が多少とも違いがあるようです。
ゆえに、我々は「矯正専門医」「咬合専門医」「小児歯科専門医」などの認定は持ちません。当院への受診においては、専門医の認定医ではないことをご承知いただきお出かけいただければと思います。