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歯周病と噛みあわせ


歯周病が増加傾向にあるといわれています。そのこと自体は前項のDDSに関係しているのかもしれませんが、まずは歯周病そのものについて考えて見たいと思います。
歯周病は感染症であると定義されていますが、なぜそうなったかについて、見てみることにします。
歯周病には、色々な原因の可能性があり、それぞれに研究がされてきて現在に至っています。これからお話しすることに前提として以下の事を見ておく必要があります。

咬合性外傷の歯周病起因説否定の見解

咬合性外傷の定義

1978:WHO:対合歯がもたらす、直接的あるいは間接的な力によって引き起こされた歯周組織の損傷
1986:アメリカ歯周病学会:Occlusal trauma:過度の咬合力引き起こされる付着器官の損傷

■研究の歴史
Karolyi(1901)   咬合性外傷と歯槽膿漏との関係の仮説

Box1935,Stone1938:
咬合性外傷とは、1本または複数の歯にまたがる垂直性ポケットの形成を伴うさまざまな形態の歯周発祥の病院因子である(Stone)
→適切な対象群が欠ける実験デザイン   1955〜1970代に欠けて、症例報告、個人的見解で議論→非実証的データ

Glickman1965,1967:
刺激層=辺縁歯肉、歯間部歯肉が含まれる。片側だけが硬組織に面しているので咬合力の影響は受けない。
歯肉の炎症は咬合性外傷から誘発されるのではなく、細菌性プラークからの刺激による結果であることを示す。
非外傷歯におけるプラーク起因性病変は根尖側方向に進行し、最初に歯槽骨にその後歯根膜に及ぶ。
この病変の進行の結果、水平性の骨破壊が生じる
共同破壊層=歯根膜、歯根セメント質、歯槽骨が含まれ、歯冠部の中隔繊維束とは−
歯槽骨コラーゲン繊維束によって刺激層と分けられる
1967:咬合性外傷は骨縁下ポケットを伴う楔状欠損が1歯または複数歯に見られる場合の
重要な病因(共同破壊因子)である

Waerhaug1979
1.歯肉中の炎症性細胞浸潤の周辺との距離
2.隣接した歯槽骨表面との距離を計測
歯肉縁下ポケットは咬合性外傷が加わっていない歯の歯周組織であっても外傷の加わっている
歯と同じ頻度で形成される
支持組織喪失のパターンは、歯槽骨の形態および量と隣接歯根面に付着する細菌性プラークの
根尖側方向への波及の相互作用の結果により決まる

■臨床研究
・Rosling1976 フラップ後の歯肉縁下スケーリング→同様の大きい歯の骨縁下ポケットの治癒は、
隣接している同様の見られない歯のポケットの治癒と同程度
・Fleszar1980 臨床的に同様のある歯のポケットは、歯周治療を行ってもそれと同程度の病状を持つ
同様の見られない歯のポケットと同様には改善されない
・Burgett1992 スケーリングと咬合調整の併用による治療がなされた患者と咬合治療が
行われなかった患者と比べて、プロービングアタッチメントゲイン量が平均して
約0.5ミリメートル多く得られた。
・Pihlstrom1986 増加した歯の動揺と歯根膜腔の拡大が見られた歯ではそれらの兆候のない歯と比較し
深くアタッチメントロスが大きく、また骨支持が少なかった。
・Neiderud1992 臨床的に健康な歯周組織であっても、動揺を示す歯では組織変化をきたし、
プロービングに対する抵抗力が低下することを示した。

■動物実験
*歯の移動の生体反応と同じ
動揺のない歯に対して、負担あるいは分散しきれないような大きな力が一方向から頻繁にまた持続的に
加えられた場合、歯根膜腔にははっきりとした反応が現れついには機能的要求の変化に歯周組織が適応するようになる。
圧迫側には特徴的な組織反応として、新生血管の増加、血管透過性の更新、血栓、細胞やコラーゲン繊維束の分解が生じる。
力の大きさが歯根膜細胞の活性を維持できる範囲内であれば、まもなく圧迫側の歯槽骨表面に骨を吸収するは骨細胞が現れ、骨吸収の過程が始まる。この現象は「直接骨吸収」と呼ばれる。
もし加わる力がそれ以上に大きければ、結果的に圧迫側の歯根膜組織の壊死、すなわち硝子化をもたらす。それゆえ、直接骨吸収は起きないが、その代わりに歯根膜と比較して荷重の手中の少ない隣接骨組織内の骨髄腔に破骨細胞が現れ穿下性あるいは間接骨吸収が始まる。
この反応により、周囲の骨は圧迫側のガラス化した組織に穿孔するまで吸収される。
この穿孔はその部位における荷重を減少し、隣接骨あるいは隣接した歯根膜由来の細胞は圧迫側内に浸潤して、以前にガラス化した組織と置き換わる矯正力は歯槽骨縁上の結合組織に影響を及ぼさない。
ジグリング型の外傷:歯槽骨縁上結合組織は咬合力の影響を受けなかった。
構造上、歯槽骨縁上結合組織の片側だけに硬組織に面しているのがその理由である。
歯槽骨縁上結合組織に明白な炎症性病変があった場合もジグリング型の外傷によって症状が増悪されなかった。

Ericsson,Lindhe1977:
槽骨縁上結合組織はジグリング型の外傷力の影響を受けなかった。
支持高径が正常な歯周組織と同様に、機能的要求の変化に適応する能力があることを明らかにした。
meitner1975:
歯根膜の圧迫側・緊張側の混在部に適応性変化をもたらす咬合力が、プラークに起因する歯周疾患を増悪させないことが示された。
しかし、時宜リング型の力の大きさと方向が、圧迫束、緊張側の組織の適応範囲以上であった場合は、共同破壊層で生じた外傷の治癒はほとんど見込めず、より永続的な変化となる。
Polson,Zander1983:
楔状欠損を伴う歯周病変に咬合性外傷が加わった場合、
1.歯槽骨の喪失を進行させる原因となる
2.それに付随する結合組織性アタチメントロスは引き起こさない。

■プラーク誘発性歯肉疾患
プラークを停滞しやすくする局所因子によって蓄積が促進される。

■急性破壊性歯周炎
1.全身的病歴に関連しないもの
2.急速なアタッチメントロスと骨の破壊が認められる。
3.家族集積性が認められる

2次的特徴としてすべての患者には認められないものとして、
1.歯周組織は会の重症度と微生物の付着量に関連性がない。
2.貪食能の異常が認められる
3.反応性の亢進したマクロファージの表現系(遺伝による表現系)と、それによる最近ない毒素に対するPGE2とIL-1β産出の亢進
4.アタッチメントロスと骨の破壊の進行が自然に停止する可能性を有する
1:限局型急速破壊性歯周炎(LAP)
  (1)思春期前後に発症
  (2)第一大臼歯と切歯に限局
  (3)感染因子に対する強い血清抗体反応が認められる
2:広汎形急速破壊性歯周炎(GAP)
  (1)通常30歳以下で発症するが、以上の年齢でも認められることがある
  (2)3歯以上の広範囲に隣接面のアタッチメントロスが認められる
  (3)アタッチメントロスと骨の破壊は明らかに突発的に不規則に進行する
  (4)感染因子に対する血清抗体反応は低い
*一般的に強い病原因子、あるいは患者個人の感受性の高さ、またはその両方であることによって発現すると説明されている。 La菌の特異性=LAP

■歯周疾患における疫学
歯周炎のリスクファクター
ほとんどの感染症の場合、必要条件として定義した細菌の存在は必ずしも病気の兆候や症状を伴うとは限らない。
細菌存在そのものは病気の発現においては十分ではなく、むしろ病気の発現はいくつかの
ほかの要因に依存することがる。

■慢性歯周炎
大多数の成人には1〜2ミリの臨床的アタッチメントロスが見られる。
3ミリ以上のCALが1ヶ所以上に見られる割合は年齢により増加する。
さらに、慢性歯周炎折間患者数および罹患部位と進行の程度も加齢に伴って増加する。
発症年齢と進行程度は個人にひょ里異なり、遺伝と環境のリスクファクターに強く関係する。

Baderster1984:
2.5ミリ以下のプロービングの深さがある場合、臨床的アタッチメントロスが生じる

以上のようなことから、外傷性咬合と言うのか咬合による歯周病原因説は否定されてきました。
しかし、臨床の場では、感染説にはどうも疑問があるケースが少なくありません。
少し考え方を変えてみると、論理的なつながりが出てきます。
その前に、歯周病の一つといわれる、根分岐部病変について検証してみましょう。

このレントゲン像ではわかりにくいかもしれませんが、左下6番の問題です。
この分岐部における病変は、根管から来たものか歯周病かの判断がまず必要なのですが、そのことはここでは省略するとして、歯周病と判断します。この患者さんの口腔衛生状態は良好であり、他の部位に歯周病病変は見られません。従来いわれている咬合性外傷が基本的原因と考えられると思います。しかし、上記した研究から、咬合性外傷説が否定されるとすると、感染説でなければならないことになります。

*根が前後関係に複数ある大臼歯では分かりやすいのですが、では根が一つの場合ではどうなるのでしょうか。
主題とは異なるのでここでは省略しますが、
1.軽い動揺を伴う炎症閾値の低い慢性症状を呈する
2.次に歯槽骨の退縮傾向が始まる
大臼歯ではその構造上から1があまり見られません。
などという話が流れてゆきます。
もう一つ歯周病の重度な状態にある歯周病の歯肉状態を見てみましょう。

歯磨きを1日2回、歯科衛生士の指導のもとに行ってきたようです。しかし歯肉縁での炎症状態は解消されていません。少し手を抜くとこのような状態になります。

ここで歯周病についての見方を大きく二つに分けてみます。
一つは従来から言われる感染型の歯周病でしょう。
二つは外傷性咬合とでも言いますか、破壊型の歯周病などはこれに含まれますが、
咬合力により生じる歯周病があります。
将来他の原因が考え出される可能性は医学ではいつもあるのですが、歯周病はほぼこの二つで確定できるように思われます。
さて、一つ目の感染型の歯周病についても、少し見方を変える必要があるようです。
科学特に医学では陥りやすいことですが、エビデンス(実証)に基づく・・といわれます。しかしこのエビデンスが曲者です、エビデンス=実証には二つあります。実験的実証と論理的実証です。実験的な実証だけではないのです。そして人間では実験できないこと、出来ないことのほうが多いかもしれません。そこで必要なのは論理性実証の確立です。反対のこともあります。ある顎関節の図書を見ていると、「頭痛と噛みあわせの関係については実証されていないので信じるべきでない・・・。」とかかれてあります。私自身も頭痛と噛み合せが直線的に関係するのかなあと言う疑問は確かにありますが、論理的にはありえることであり、臨床の場では多くの回復例があります。論理性は実験以上に大切なのですが、論理性を忘れて実験主義に走りがちです。
少し話は違いますが、中国療法や民間療法と呼ばれる代替医療を見ていると、時にこの論理性を語るのを逃げていることがあります。中国医学や代替医療は臨床の場では効果を挙げていることは事実なのですが、それを論理的に語る必要があります。なかなか現実問題として動物実験の行いにくい分野を扱ってられるのですから、論理的実証に重きを置くべきなのですが、西洋医学とは基本的な考えが違うとか医学ではわからないなどと言うのは、根本的な間違いといえます。
話はそれてしまいましたが、歯周病の感染論はこの論理的な実証に問題があるための、臨床の場と違うことを感じてしまいがちです。

歯周病に独特の細菌があることは事実です。なぜ感染を起こすかとなると、まず歯垢が上げられます。歯垢はどうして歯肉に付くのでしょうか。付着機序はそれほど難しいものではありません。付着原因と付着機序は違います。
では付着原因とは、と考えると
1.口腔の清掃の悪さが上げられます。これは犬に歯周病があることからも正解です。
しかし、清掃をしている方にも写真のような例が少なくはありません。歯肉に付着しやすい状態があると考えられます。それは今のところ咬合力の過剰と考えるほうが論理的でしょう。咬合力の過剰が歯肉に軽い炎症症状を引き起こし、それが歯肉への歯垢の付着しやすい状況を作っている、と考えると、すべてがわかり易くなります。これは感染論の否定ではなく、感染論の不足している論理性の再構築です。
2.咬合の過剰ベクトルによる組織の炎症  が次に上げるべきでしょう。
この二つが基本的な原因として、感染に繋がることになります。

そこでもう一つの方向から歯周病の予防を見ることにしましょう。歯磨きや歯間ブラシそしてフロス等での歯周病予防です。(虫歯予防のことや唾液分泌はここでは省略しておきます)上記したように歯肉に炎症があると、歯垢はつきやすいということをお話しました。
注意したいことは、あまり激しくはブラシなどを使わないということです。炎症を起こしていることが少なくなく見られます。適切で適度な予防を心がけましょう。

もう一つ、歯ブラシやスケーリングで見かけ上の治癒となることが歯周病では少なくなくありません。先述したように、過剰咬合力だけで歯周病が進行する場合もあります。歯周病を感染と定義するならば、その範疇に入れないほうがいいのでしょうが、過剰咬合力による歯槽骨退縮が起こります。
炎症や感染がなくなるか減少した場合、血管の拡大がなくなり、組織が引き締まったようになり、歯のゆれが少なくなります。これが歯周病が治癒したということになるのかどうかは、別にして歯周組織の退縮傾向や感染傾向がなくなったというものではないことを頭に入れておく必要があります。

歯周病は骨質や骨の厚さという要素もまた考慮しなくてはなりません。
大変難しいのですが、歯がなくなれば歯周病はなくなるという簡単な理屈が歯周病には存在しています。
最後に近年の歯周病の増加傾向について一つの仮説を考えて見ます。

  1. 咬合力の不足による成長過程における骨質そのもの問題
  2. 歯牙歯軸の不正ベクトルによる歯周組織にかかる力の不均衡

が生活習慣などの変化により増加傾向にある。
(咬合力の不足による歯周病の基本因子と咬合力による歯周病の発現の関係には矛盾があるように思えますが、関係してきます)
このことにより一つは歯周組織が炎症に対しての抵抗性が低下している。(詳しく述べるとプロストグランジンがどうのこうのと言うわけのわからないことになりますので省略します)もう一つは不正咬合力により、炎症に近い状況が歯周組織に生じている。このことが感染による歯周疾患の基本的因子として、歯垢の付着などを増長させることになる。

となると、歯周病への予防は従来の口腔衛生状態の向上の前に色々と考えなければならなくなります。例えば、歯ブラシの方法一つ、このような単純なことにおいても、歯周組織へのストレスをいかに防ぐのか・・・と言うことになり、単に歯垢さえ取れればいいというわけにはいかなくなってきます。

 

ストレスと歯周病

歯周病が増加傾向にあります。特に、30代、40代の女性の方に多く見られるようになりました。上記したことと、重なることもありますが、少し観点を変えてお話しましょう。
歯周病を考える場合、以下の3点が重要でしょう。

1) 何故自分の歯が大事なのだろうか、入れ歯にすればいいではないか?
2) どうして歯周病が起こるのだろうか
3) 歯周病って?

まず、自分の歯で食事をすることの重要性や噛む力による脳の活性化などについては、よくお聞きになると思いますので、ここでは少し視点を変えてお話を進めてみたいと思います。歯は顎口腔系において中心的な役割を演じているようです。詳しい話はまたの機会にして、歯があることが顎口腔系において大変重要であると仮定すると、顎口腔系が全身において、特に感覚や運動にとって重要であり、その影響は多くの心身の健康に関連することが第二の仮定になります。
この仮定は、今我々が研究中のテーマですが、この仮定が正しいとすれば、歯周病への関心は大きくならざるを得ないでしょう。この研究は、歯周病が出発点ではありませんが、考えてゆくと歯周病にも大変興味深い要素が含まれています。
この二つの過程において、正しいとするならば、歯周病はなんとしても食い止めることが、他の慢性疾患と同様に社会において必要だということになります。

次に、歯周病は、多因子疾患であるといわれています。しかし、現場では細菌説が中心とした対応を行われているのですが、この細菌説においても、歯周組織の崩壊は、宿主側(患者)の過剰な免疫・炎症作用がその基本的な原因とされています。言い換えれば、過剰な免疫・炎症を引き起こす要因がすべてその原因となるわけですので、多因子疾患であるということになります。
そして、ここで言う歯周病とは何?とのお話は、歯周病自体のお話ではなく、歯周病は全身の健康とどのように関連するのか?と言うお話の意味です。あまり良くないこととはわかりながら、我々の習性で歯周病自体にはあまり興味がわかないのですが、歯周病が全身にどのようにストレスとして働くのか、そして再生医療としての歯周病は・・・、と言う話になると好奇心が芽を出してきます。歯周病は慢性疾患であり、慢性的な炎症があるわけです。炎症が慢性化すると、副腎皮質の過剰な活性が行われます。このあたりが重要なポイントになるようです。

以上のことを前提にして、歯周病を考えていると、歯周病を起因とする様々な「病的な状態」を全身に引き起こす可能性を考えてしまいます。「病的な状態」とは、私たちの言葉ですが、病気とはいえないが、健康ではない状態をしめしています。
DDSにおける「病的な状態」が私たちの研究のもっとも大きなテーマですが、このことはここではお話は省略して、慢性的な炎症症状であり、同時に歯周病の初期においては、特に心理面との深い関係があることから、歯周病と全身との関連に注目せざるを得ません。特異的な疾患、例えば糖尿病と歯周病との関連や冠状動脈疾患と歯周病との関連はわかりやすいのですが、歯周病が人体の恒常性に影響を及ぼす、より広く考えれば、顎口腔系の成長期や日常的な要因が人体の恒常性に影響をことが考えられてきます。この「病的な状態」は顎口腔系だけではなく、例えば、東洋医学や代替医療にも関係してくるのですが、これらの医療の効果は「免疫機能の向上」をもたらすと言われていますが、逆に考えれば、何故、免疫機能が低下しているのかと言うことも考える必要が出てきます。

大きく主題から外れてしまいましたが、話を元に戻しますと、
遺伝子学的に考えますと、歯周病になりやすい遺伝子は必ず存在するでしょう。しかしながら、遺伝子が存在しても、発現しないことは多くの遺伝子疾患から見ることが出来ます。故にここでは遺伝子の話には行かないでおきます。また、現象としての歯周組織の破壊は上記したように、宿主側の過剰な炎症・免疫反応と言うことがほぼ認知されており、現象としての歯周病の話にも行かないで起きます。3つ目のポイントである、発症への機序について簡単に考察を行ってみたいと思います。
歯周病は多因子疾患であるといわれています。

歯周疾患は、感染症といわれて久しいわけですが、その進行様式は確かに感染症と断定してもいいようです。しかし、表現方法が難しいのですが、その発症に至る過程、発症に至る機序は様々な因子が関係してくると思われます。
当院は現状は矯正を中心とした、形態的な治療が主たるものであり、歯周病に手が出るほどの余裕がないために、歯周病について詳しいお話は避けますが、ここで一つ取り上げておきたいのが、我々の研究テーマに近い精神ストレスからの発症です。ストレスといっても科学的なもの生物的なものそして物理的なものがあるわけですし、またせいしんせいのストレスからの歯周病の基本機序においても、内分泌の影響がどうのこうのと話は限りなくなるので、ここでは単純に心理ストレスが筋緊張を生みその影響が歯周に現れるということについてのみお話を進めたいと思います。
近年よく見かけるのが、この精神性ストレスが引き起こす筋緊張による咬合への負荷が強すぎるために起こる、エナメル質の破折による痛みや冷水痛でしょうか。もう少し進むと複根の歯(奥歯)では根分岐部病変が起こってきます。単根、前歯でもレントゲン像で根尖の変化をかすかに見ることができます。歯周病の前症状とも言えるものですが、あまり歯周病の専門の方は取り上げていないようです。そしてわずかな炎症症状を歯肉部に見ることになります。この炎症症状が現れると、歯垢が付着しやすい状態になります。この炎症症状が先に述べたように、視床下部-脳下垂体-副腎皮質系にどのような影響を及ぼし、例えば、糖尿病にどう関係してゆくのかなどが私たちの興味をそそるのですが、それは又話がずれますので、元に戻すと、根分岐部病変、根尖部病変、エナメル質崩壊、そして歯肉部炎症などがクロスし歯周病が発現するのですが、特に歯肉部炎症に歯垢が付着し感染症として明確な歯周病が出現することになります。
では、どうしたらいいのかという話になりますが、ストレスをどう予防するのかということはここでは省略し、歯医者さん的な話にまとめると、
1) 定期的にクリーニングを行う
* 1ヶ月ごとに歯石を取る・・・これがいいのか悪いのかという議論を聞きますが、ということは歯石はともかくとしてそのことでクリーニングが行われているわけですから、結果はOKということになります。
2) 力を入れずに時間をかけて適切な歯ブラシをする
ということになるでしょう。
心理的なストレスによる歯周病に注意が必要なようです。
歯周病は、おもしろいというと語弊がありますが、興味を引く疾患ですが、この辺りで、止めておくことにしましょう。